便秘がひどくなると体臭がする?

便秘がひどくなると、体臭などがひどくなるって本当ですか?

本当です。

便秘によって腸内に便が溜まると、悪玉菌の働きで便の発酵や腐敗が進みます。その過程で、アンモニアなど悪臭のある有害物質が発生し、ガス化します。一般的にこれらのガスはおならになるわけですが、腸内に滞留する間に、腸壁から吸収もされています。そして血液中に溶け込んで、全身へと運ばれてしまうのです。

こうして全身に回った有害物質は、皮膚組織へ移り、汗や皮脂と一緒に体外に分泌されます。そして体臭となるのです。

体臭はもともと、褪せや皮脂などを栄養として繁殖する常在菌が発生させていますから、誰にでも多少はあるものです。しかし便秘の場合、ここに腸内のガス、つまり便の匂いが加わるため、よりひどくなってしまいます。また腸内のガスは被布だけでなく肺を通しても放出され、その場合には口臭もひどくなります。

匂いの具合や感じ方は個人差がありますし、自分の匂いには気付きにくいものですが、もしかしたら周囲の人を不快にしているかもしれません。気になる場合は身近な人に聞いてみると良いでしょう。当然ですが、これらの体臭は便秘を改善すれば治まりますよ。



ひどい便秘で医者にかかる場合

どれくらい便秘がひどいと、お医者さんに診てもらったほうがいいですか?

便秘の定義がはっきりとしていないように病院を受診するタイミングも人それぞれで、何日排便がなかったら病院へ、と具体的に言うことは出来ません。

ざっくり言うと
・運動や食事などで改善を試みても効果がない
・便秘によって腹痛や頭痛など具合が悪い
などの場合には早めの受診をお勧めします。

一言で便秘と言っても、弛緩性・ケイレン性・直腸性とタイプがあり、診察によってこのタイプを知ることでより効果的な対処が出来るようになります。
また、便秘は腫瘍など病気の徴候であることも考えられ、このような場合には早期の発見と治療が重要です。
「たかが便秘」と甘く見たり、「下剤を使えばいいや」と安易に下剤に頼ったりせず、おかしいな、長引くな、と思ったら早めに専門家に相談しましょう。

便秘の診察は内科や消化器科で受けられますが、最近は便秘治療に特化した「便秘外来」もあります。
便秘外来では薬による治療はもちろん、生活習慣の改善やカウンセリングによるストレス緩和など、様々な角度から便秘の治療が受けられますよ。



善玉菌の便秘への効果

善玉菌をたくさん増やせば、便秘にも効果がありますか?どれだけ増やせばいいのですか?

便秘の改善に重要なのは、腸内環境を整えることです。

人の腸内には400種類以上、総数100兆個にも及ぶ腸内細菌が住んでいると言われています。この細菌は大きく分けて「善玉菌」「悪玉菌「日和見菌」に分けられます。
善玉菌は文字通り、腸内に良い働きをするもので、逆に悪玉菌は悪い働きをします。日和見菌は、特に良くも悪くもありませんが、悪玉菌が増えると一緒になって悪い影響を及ぼします。

腸内細菌の総数は誰でも大体100兆個と決まっていて、その中で善玉菌と悪玉菌が勢力を争っているのです。
この勢力バランスが悪玉菌に偏ると腸内環境が悪くなり、便秘をはじめ下痢や腸炎など様々な病気の元となります。
ですから、善玉菌を増やして腸内環境を改善することが便秘の解消にもつながります。

ヨーグルトが便秘改善に有効な食べ物とされているのも、ここに理由があります。ヨーグルトには善玉菌の種類であるビフィズス菌や乳酸菌が多く含まれているのです。
しかし、ヨーグルトを食べて善玉菌が増えるのは一時的なものです。善玉菌は人それぞれに生まれつき持った「固有種」があり、それ以外の菌は腸内に定着することが出来ません。つまり、ビフィズス菌や乳酸菌を食べても腸内で繁殖するわけではなく、そのまま排泄されてしまうわけです。
ただ、それは無意味なことではなく一時的には善玉菌を増やし、悪玉菌を減らすことが出来ます。ですからヨーグルトなどの善玉菌を持つ食品は定期的に摂ることが重要です。

それと同時に自分の「固有種」も増やしていくとより良い腸内環境を作れます。その為に大切なのは、固有種を増やすための「エサ」の摂取です。エサを与えてやれば腸内に定着している善玉菌たちがそれを基に増えていくはずです。そのエサとして有名なのが、オリゴ糖と食物繊維です。
オリゴ糖はバナナ、ハチミツ、ニンニク、ゴボウ、ネギなどの他、果物類に比較的多く含まれています。
食物繊維は豆、穀物、根菜、きのこ、海藻などに多く含まれています。
特に食物繊維は、それ自体も便秘改善に役立つので、意識して取ると良いでしょう。
他におススメの食品として納豆が挙げられます。納豆菌自体が善玉菌であり、エサにもなるので一石二鳥です。

これらは「どれだけ摂ればいい」という目安があまりありません。
善玉菌の必要な目安は、100兆個の腸内細菌のうち約20%ですが、もともとの腸内バランスやそのほかの食生活によって、必要な善玉菌の数は変わってくるからです。
ただ、便の色でおおよその腸内バランスを見ることが出来ます。善玉菌が優勢の時には便が黄色っぽく、悪玉菌が優勢の時には黒っぽくなるのです。これを目安に食生活に気を付ければ徐々に健康な状態になるでしょう。



漢方便秘薬の常習性

漢方の便秘薬なら、飲み続けても体に害(常習性など)はありませんか?

化学合成された「西洋薬」に対して、動植物や鉱物など自然界の生薬を組み合わせたものを「漢方薬」と言います。

漢方薬の特徴として
・体質によって作用に差が出る
・穏やかに効くものが多い
・西洋薬に比べて副作用が少ない
といったものが挙げられます。

これらのイメージから、漢方薬は身体に優しく副作用がない、と考える方も多くいますが漢方薬も「薬」であり「作用」がある限り、体に何らかの影響を及ぼしているわけです。
それはつまり、害にもなり得ます。
ですから「漢方なら安心」と常用・多用することはおすすめできません。

しかし難しいのが、漢方は人によって効果に差が出るという点です。
西洋薬は、例えば解熱剤なら「熱を下げます。かわりに眠気が出ます。」と決まっていて、体重や病状で差はあっても、その効果に変わりはありません。ところが漢方薬は、複数の成分が様々なバランスで配合されているもので、年齢や体質によって効く人・効かない人の差が大きくなっています。
同じ薬でも効果が出る人、何も効果がない人、副作用が出る人もいます。
中には重大な影響を受ける可能性があり、処方できない人もいます。
牛乳を飲むとおなかを下してしまう人、どんなに飲んでも平気な人がいるのと同じです。
ですから、副作用が必ず出るとは言えず、しかしないとも言い切れない微妙なバランスのものなのです。
たとえ副作用がなくとも、飲み続けて害が出ないとは言い切れません。
長く飲むことで胃を悪くするなど影響が出ることも考えられます。
それ以前に、長く飲み続けるというのは、つまり症状が改善されないということで、その漢方は体に合っていない、と言えるでしょう。
そんな薬を飲み続けるのは無意味ですから、しばらく飲んでも効果が出ない場合には薬を変える必要があります。

このように体質による「合う」「合わない」を見極めなければ、漢方の効き目は得られません。その為、漢方も西洋薬と同じように専門家に処方してもらうことをお勧めします。
用法や用量は、その専門家先生の指示に従ってください。



便秘にカッシア・アラタ

便秘にカッシア・アラタって効果があるのですか?

カッシア・アラタは、キャンドルブッシュ・ゴールデンキャンドルとも呼ばれるマメ科の植物で、インドネシアやインドなど熱帯アジアに自生しています。
特にインドネシアのスマトラ島に多く、現地では薬用として使われているのです。
その歴史は古く、1300年もの昔からインドネシア王室の貴婦人たちの美を支えてきました。

葉をすり潰して湿布にすれば、皮膚炎や虫刺されに葉を煎じて飲めば抗真菌や便秘改善の効果があるとされ、薬膳として食されることもあるそうです。
カッシア・アラタが便秘改善に効果的なのは、アントラキノンやクリソフェノールといった下剤作用のある成分が含まれているからです。
それほど強力な効果はありませんが、緩やかに腸を刺激して排泄を助けてくれるでしょう。

他にミネラルやビタミンも豊富で、ポリフェノールによる抗酸化作用も期待できるので、日本では女性向けの美容茶として販売されています。

このお茶は濃く入れたりたくさん飲むと下剤作用が強くなってしまうので、様子を見ながら飲むようにしてください。